AI推進担当になったら、すぐにやりたい5つのこと
この記事のポイント
- AI推進に必要なのは「AIを使う力」と「人と進める力」。推進で大きいのは、人と進める力
- つまずきやすいのは、ゴール・仲間・評価の3つの準備がまだ整っていないから
- 最初の一歩は、上司・社長と「何ができたら成功か」を言葉にしておくこと
- そこから現場の声、少数の仲間、1枚のルール、成果の共有へと進めると、1か月ほどで最初の成果を共有できる
任命されたばかりの頃、こんなことはありませんか
AI推進担当をお願いされて、引き受けた。
けれど、こんなことで手が止まっていないでしょうか。
- PCやITに少し詳しいからと任命されたけれど、何から進めればいいかわからない
- 普段の業務も忙しくて、AI推進に使える時間がなかなか取れない
- AIの話を気軽にできる相手が、社内にまだいない
- 自分自身も、勉強しながら進めている

どれも、多くの推進担当の方が通る道です。
AI研修や相談で伺う会社でも、「まずどこから手をつければいいか、答えられる人が社内にいない」という声をよくお聞きします。
この記事では、任命されたばかりの方がすぐにやりたい5つのことを、取り組む順番に整理しました。
AI推進に必要なのは、「AIを使う力」と「人と進める力」
AI推進には、2つの力が求められます。
- AIを使う力:AIの知識と、実際に業務で使ってみた経験
- 人と進める力:社内の理解を得て、対話し、部署のあいだを調整しながら進める力
AIに詳しいことを理由に任命されることが多いのですが、実際に推進していくうえで大きいのは、2つ目の「人と進める力」です。AIを使う力は、取り組みながら少しずつ身についていきます。
このあと紹介する5つのことも、ほとんどが「人と進める力」を使う取り組みです。
つまずきやすいのは、3つの準備がまだ整っていないから
推進担当の方に、最初から用意されていることが少ないのが、次の3つです。
- ゴール:何ができたら成功かが、まだ言葉になっていない
- 仲間:一緒に試してくれる人が、まだ決まっていない
- 評価:取り組みがどう評価されるかが、まだ決まっていない
とくに評価の仕組みは、多くの会社でこれからのテーマです。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」では、DXを進める人材の評価基準が「ない」と答えた日本企業は75.7%でした。
進めにくさを感じたときは、ご自身の力の問題として抱え込まずに、この3つのどれがまだ整っていないかを見てみてください。
5つのことは、この3つを少しずつ整えていくための順番にもなっています。
すぐにやりたい5つのこと
- 上司・社長と「何ができたら成功か」を言葉にしておく
- 現場を回って「手間がかかっている作業」を聞く
- 一緒に試してくれる仲間を、まず数人見つける
- 使ってよいAIのルールを、まず1枚にまとめる
- 小さな成果を、数字と声で共有する
目安として、1と2を最初の2週間で、3と4を3週目、5を4週目に進めると、1か月で最初の成果を共有できます。
1. 上司・社長と「何ができたら成功か」を言葉にしておく
最初にやりたいのは、AIのツールを触ることより先に、上司・社長と何ができたら成功かをそろえておくことです。
ゴールがそろっていると、報告も相談もしやすくなります。
言葉にするときは、「誰の」「どの作業が」「どれくらい楽になるか」を入れると、具体的になります。
例:営業部の週報づくりにかかる時間を、3か月で半分にする
AIで成果を出している企業は、力の多くを技術よりも人と業務の進め方に注いでいます。ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、AIの取り組みに注ぐ力の配分を「アルゴリズム10%、技術基盤20%、人とプロセス70%」とする考え方を示しています。
ゴールが言葉になると、推進担当の仕事は「AIを広めること」から「そのゴールを、みんなで達成すること」に変わります。
2. 現場を回って「手間がかかっている作業」を聞く
次に、現場を回って話を聞きます。聞きたいのは、AIについての意見より、毎日・毎週くり返していて、手間がかかっている作業です。
AI研修や相談の場で、経営者の方から「社員の仕事を増やさずに進めたい」という声をよくいただきます。現場の手間を先に聞いておくと、「誰の作業が楽になるか」から話を始められるので、上司・社長とも現場とも話が進みやすくなります。
最初の題材に向いているのは、小さくて、毎日やっていて、誰かが少し手間に感じている作業です。議事録、報告書、見積の下書き、問い合わせへの返信などが当てはまります。
ある製造業の会社では、毎日書いている作業報告から始めました。話した内容をAIに整えてもらう形にして、30分ほどかかっていた作業が約5分で終わるようになりました(導入事例を見る)。
3. 一緒に試してくれる仲間を、まず数人見つける
現場で話を聞くと、「それ、試してみたい」と言ってくれる人がいます。そうした前向きな人と、その人たちの業務を1つ選んで始めます。

人数の目安は、選んだ業務に関わる人の中から2〜5人ほどです。会社の大きさより、「同じ業務を一緒に回している人」の中から声をかけると、進めやすくなります。
- 例:社員30名ほどの会社なら、営業事務の2人から
- 例:数百名の会社なら、1つの課の4〜5人から
始める前に、その業務に今どれくらい時間がかかっているかを、1〜2回はかっておきましょう。後で成果を伝えるときの材料になります。
試すときは、完成を待たずに渡して、使いながら一緒に直していく方が、早く形になります。うまくいった指示の出し方は、そのまま書き残しておくと、次に広げるときの教材になります。
4. 使ってよいAIのルールを、まず1枚にまとめる
社員が安心して試せるように、最低限のルールを決めておきます。最初は次の内容を、1枚にまとめるところからで大丈夫です。

- 会社として使ってよいAIツール(法人プランか、無料版か)
- AIに入力してはいけない情報(顧客の個人情報、取引先との契約内容など)
- AIが作ったものは、人が確認してから外に出す
- 困ったときの相談先
細かいガイドラインは、使いながら育てていく方が、現場の実態に合ったものになります。
5. 小さな成果を、数字と声で共有する
仲間が使い始めて少したったら、成果を上司・社長に共有します。

- 数字:その業務の時間が、どれくらい変わったか
- 声:使った人たちの感想(楽になったこと、まだ使いにくいこと)
うまくいかなかったことも、一緒に伝えて大丈夫です。どこでつまずいたかは、次の改善の材料になります。
共有したら、次に取り組む業務と、次に声をかける仲間を決めましょう。ひとつの業務で成果が見えると、次の部署にも広げやすくなります。
上司・社長と一緒に決めておきたい3つのこと
5つのことを進めやすくするために、上司・社長と一緒に決めておきたいことが3つあります。
- 何ができたら成功かを、一緒にそろえる:最初に共有しておく
- 月に1回、15分の報告の場をつくる:成果も、うまくいかなかったことも共有する
- 取り組みを、評価の対象に入れる:取り組みが評価につながると、推進担当も周りも続けやすくなります
推進担当の方からは切り出しにくい話かもしれません。そんなときは、下の資料の「上司・社長と一緒に見るページ」を、そのまま話し合いに使ってください。
AIスパルタンなら、推進担当の方と一緒に進められます
ここまでの内容は、推進担当の方が一人でも進められるように書きました。
それでも、「業務の選び方はこれでいいかな」「AIの使い方を誰に教えてもらおう」と迷う場面は出てきます。
そんなときは、AIスパルタンが一緒に進めます。
リアルタイム実践型AI研修
- 自社の業務を題材にカリキュラムを設計し、研修時間の中でアウトプットを完成させる研修です
- 講師が訪問し、対面で一緒に手を動かしながら進めます
- 「3. 一緒に試してくれる仲間」との取り組みを、社員の皆さんと一度に進められます
伴走型AIコンサルティング
- 定期的なミーティングとチャットで、推進担当の方と一緒にAI化を進める伴走サービスです
- 業務の棚卸しから実装まで伴走し、ゴールの言葉づくりや成果の見える化、上司・社長への報告も支えます
- AI化を、社内で回せる状態をつくります。1つの部署が回り始めたら、次の部署へ広げていきます
研修は、条件を満たせば助成金を活用できる場合があります(詳しくは「AI研修の助成金」の記事をご覧ください)。
「うちの場合、何をゴールにすればいいだろう?」という段階でも大丈夫です。お気軽にご相談ください。
まとめ:まずは「何ができたら成功か」から
AI推進担当に任命された直後は、何から手をつけるか迷うのが自然なことです。
すぐにやりたい5つのことを、もう一度まとめます。
- 上司・社長と「何ができたら成功か」を言葉にしておく
- 現場を回って「手間がかかっている作業」を聞く
- 一緒に試してくれる仲間を、まず数人見つける
- 使ってよいAIのルールを、まず1枚にまとめる
- 小さな成果を、数字と声で共有する
ひとつの業務で成果が見えると、次の一歩がぐっと踏み出しやすくなります。
推進担当の皆さんの取り組みを、応援しています!
【無料】AI推進担当になったら、すぐにやりたい5つのこと(ワークブック)
この記事の内容を、書き込んで使えるワークブックにまとめました。
- 5つのことを、それぞれ書き込みながら進められるシート
- 上司・社長と一緒に見るページ
よくある質問
- 1. AI推進担当は、ITに詳しい人でないと務まりませんか?
- 詳しくなくても大丈夫です。推進で大きいのは「人と進める力」、つまり社内の業務をよく知っていて、各部署の人の話を聞きに行けることです。AIを使う力は、取り組みながら覚えていけます。
- 2. 社員がAIを使うことに不安を感じているようです。どうすればいいですか?
- 「仕事が奪われるのでは」「AIを使うのは手抜きでは」という不安を感じる方もいます。まずは前向きな数人と小さく始めて、「面倒な作業が少し楽になった」という実例を見てもらうのが近道です。
- 3. 何をゴールにすればいいか、なかなか決まりません。
- 最初は大きな目標でなくて大丈夫です。「どの部署の、どの作業が、少し楽になったらうれしいか」を上司・社長に聞いてみてください。答えが出てこないときは、現場で聞いた「手間がかかっている作業」を候補として持っていくと、話がまとまりやすくなります。
